プロフィール

【3章】恋愛に部活に青春!なんて幻想は一切ない!ガタガタと崩れる人生の歯車

 

高校生のこばりん
高校生のこばりん
もう俺にかかわんなーーーーーっっ!!!!

怒っ怒っ怒っ怒っ怒っ怒っ怒っ怒

 

 

高校3年の夏休み目前、

僕は家出を決意した。

 

 

家族に対するイラ立ち、

クラスに友達と呼べる人は誰もいない、

 

バイトでは土砂降りのように

罵声を浴びる。

 

 

不信感にまみれた生活に嫌気がさした。

 

もういてもたっても

いられないくらい

ムシャクシャした僕は

 

実家から離れることにした。

 

 

前回のあらすじ

エ◯ビ我慢大会という

思春期ならではの

デンジャラスな出来事

 

ムチで叩かれうめき声を上げる

幼なじみの声を聞きながら

体罰が当たり前の時代を生き抜いた。

 

地元工業高校に進学した

こばりんはさらに人生の深みにハマり

 

そして、孤独になっていく・・・

 

【2章】「たった一つ」の夢を失った中学生時代の発情がまん大会 ・・・思春期らしいバカっぽいゲームが始まった! 夢を失う!少年が。 ...

東京に決めた!!

 

すぐさまに東京に行こうと思った。

 

東京に行けば

住み込みでもダンボール暮らしでも

何とかなるだろうと思い、

一瞬で決めた。

 

 

東北の田舎町から

東京はかなり遠い

 

新幹線で行けば数時間だが、

1〜2万円もお金がかかるから

すぐ却下した。

 

 

ささやかなバイト代のみしかないのに

そこで数万円もの大金を

だしていられない。

 

無免だがバイクで

行けないものか考えた。

 

 

ガソリン代ぐらいなら

安いもんだと。

 

すぐに友達に電話して、

バイクを借りれないか聞いたが

無理だった。

 

 

残された答えは一つだった。

 

 

「チャリ!」

 

 

時間はある。

 

だからなるべくお金をかけない方法。

 

17歳の高校生に

残された選択肢はチャリしかなかった。

 

 

夕暮れ前、

 

毎日のように麻雀を打っていた友達に

別れを告げ上京を目指し、

僕はチャリをこぎ始めた。

 

 

ヒョウタンから子馬ぐらい

信じられない壮絶な

「チャリ上京物語」が始まった。

 

とりあえずチャリをこぎ続けた。

 

 

17歳とはものすごいパワーを持っていると

今でも思う。

 

 

普段から走ったり

何かしらの運動をしている。

 

学校の運動部に入っている。

 

 

だったら身体が強いだろう、

それならなんとなく納得できるが、

 

そうじゃない・・・・

 

部活になんか入っていない。

 

 

家でロールプレイングやパズル、桃鉄といった

ゲームをやったり、

 

徹夜で麻雀をやったり、

時々、バイトしてみたり

 

といったことしかしていないのに

チャリをこぎ始めてから数時間もの間、

ずっとペダルをこいでいた。

 

 

ハムスターのようにペダルを回し続けた。

 

疲れていようが関係ない。

 

高校生のこばりん
高校生のこばりん
もう家を出てやる!

上京しよう!

おれは一人で生きるしか道はない!

 

 

バイトで貯めた

泣け無しの3万円を握りしめ、

固く決意していた。

 

強い想い、強い信念があった。

 

 

だからこそ、

疲れていようがおかまいなしに

何時間も何時間もこぎ続けた。

 

 

マラソン選手がよく言う

ランナーズハイ

になっていたと思う。

 

1回目の休憩。数年ぶりのコンビニだった。

5時間ほどこぎ続けた頃

 

国道沿いにあるコンビニで

初めての休憩をとった。

 

もちろんチャリをこぎ始めてから

初めて入るお店。

 

 

すでに空は暗くなり、

道路はあまりよく見えない状況になった。

 

コンビニでおにぎりを3個と

ポカリを買った。

 

 

チッポケな3万円だけを握りしめて

家を出てきた。

 

 

どうやりくりするかは考えていなかった。

 

ただ、切り崩しながらスレスレで生きるしかない、

とだけ分かっていた。。。

 

 

少しの休憩したあと

僕は再びチャリにまたがり、

 

漠然と夢を抱いて

上京を目指しこぎ始めた。

 

 

その先はついに県境。

 

小さい頃から育った地元から

自らの足で飛び出す。

 

ドキドキした。。

 

 

県境に潜む

まさに鬼のような山道

待ちうけていることも知らずに・・・

 

 

 

夢が散った結婚式場

地元で有名な結婚式場

バイトをしていた。

 

バイト代は当時の相場600円。

 

 

650円なんかもらっているやつの

話しを聞くと

 

高校生のこばりん
高校生のこばりん
なんでお前がそんなもらってんだよ(怒)

 

と思うほどだった。

 

 

高校生時代はバイトを

5つぐらいやった。

 

その中でもこの結婚式場のバイトは

とんでもなかった。

 

 

そんな中でも忘れらないエピソードがあります。

 

ホント仕事ってクソっだなーって

心底思った瞬間の

僕とマネージャーの会話だ。

 

高校生のこばりん
高校生のこばりん
時給ってあがるんですか?

マネージャー
マネージャー
上がるよー

高校生のこばりん
高校生のこばりん
マジっすか・・・!!??

頑張れば上がるんですか?^^

マネージャー
マネージャー
上がるでしょー!!!^^

 

 

僕のテンションは

大きな波が押し寄せるように

最高潮に上がってきた。

 

こんな僕でも給料上がるかもしれない・・・

 

マジか・・・

マジメに頑張ってみるかー!

 

そして、話は続いた、

 

 

高校生のこばりん
高校生のこばりん
今まで時給上がった人っているんですか??

マネージャー
マネージャー
いないよー!(ニコニコ)

 

高校生のこばりん
高校生のこばりん
シーーーーーーン・・・

(バカかこいつっ!!)怒ッ怒ッ怒ッ怒ッ怒ッ

 

大きな波は信じられない勢いで引いていった・・・

 

ぶっちゃけ話しにならないと思った。

 

 

 

バイト先の結婚式場は

まるで生き地獄のようなところだった。

 

結婚式場といっても

それは主な仕事であって

 

他にも葬式や会議、

演説、パーティー会場、

ビアパーティーなど

 

様々な会場になる。

 

 

ことのほか、結婚式は悲惨だった。

 

 

結婚式をあげる新郎新婦は

人生の中でもトップ3に入るぐらい

幸せな出来事だと思う。

 

僕が挙げる側の立場なら

どれだけ楽しい思い出ができることか。

 

それを見守る家族や友人たちは

一つのライフイベントとして

楽しい時間を過ごすんだろうと思う。

 

しかし、、、

 

 

一つの壁を境にした先では

「罵声」が飛び交う戦場だとは

つゆも知らずに・・・

 

 

そして、ある意味、

僕にとって忘れられない思い出

ベスト3に入っている。

 

 

 

 

高校生のこばりん
高校生のこばりん
うるせーーババアーーー(怒ッ)

 

 

料理を運んだり

空いた皿をさげたりするのは

 

社員であるウェイターや

派遣されてきたウェイトレスだ。

 

その料理を運びやすくしたり、

下げてきた皿をすかさず片付けていく役目が

裏方のバイトの仕事。

 

 

料理の数は200〜300もある。

 

 

裏方は人が

やっとすれ違えるぐらいの狭い通路。

 

 

そこを料理と運ぶ人と

バイトたちが家の屋根を吹き飛ばす嵐のように

行き交う。

 

 

20人近くが

目まぐるしくしている。

 

そんなところで必死に作業をする。

 

そんな中でウェイトレスのやつらは

文句を言ってくる。

 

 

 

ウェイトレス
ウェイトレス

遅いっ!

邪魔だっ!

早くしろっ!

これだって言ってるだろっ!

 

 

明らかにバイトたちは

イラ立っていた。

 

 

内心がフツフツと沸騰してきた。

 

「こっちだって真剣にやってんだよ(怒)」

「あそんでじゃねー(怒)」

 

 

派遣ウェイトレスの

リーダー格のおばさんが放った言葉が

火種になった。

 

ウェイトレス
ウェイトレス
これだっていってるでしょ!!

高校生のこばりん
高校生のこばりん

うるせーーーババアーーーー(怒ッ怒ッ怒ッ怒ッ)

知らねーよ!そんなの(怒ッ)

もっと早く言えよ(怒ッ)

 

 

まさに平成の

「百姓一揆」が起こった瞬間だった。

 

 

直後、

ウェイトレス
ウェイトレス
ババアって何よー!

ババアって言わないでよー・・・悲

 

リーダー格のおばさんが

そう言った後から

バイトたちに対してイラ立つような

発言はしなくなった。

 

高校生のこばりん
高校生のこばりん
わかりゃいいんだよ!わかりゃ!怒ッ

 

バイトたちの間には

「勝利の祝杯」が振舞われるようだった。

 

 

しかし、結婚式はそれだけでは

終わらない。

 

 

世の中には幸せな人たちが

何人もいるもんだと思った。

 

 

6月は結婚式ブーム

 

壮絶な結婚式を

1日に3回も繰り広げる。

 

 

つまり3本立てだ!

 

裏方が戦場になっていることも知らず。

 

 

1日3回もあると

必然的に働いている時間が長くなる。

 

 

1回目の結婚式が朝9時半から始まる。

 

2回目が13時半ぐらい。

結婚式の時間は2時間半ぐらい。

 

1回目が終わるのが12時過ぎ。

 

 

幸せなのんべえ達はゆっくりと会場を後にするから

会場が空くのは12時半。

 

 

高校生のこばりん
高校生のこばりん

んっ!!???

次の開始まで1時間しかないっ!!!!!!

 

 

そこから2回目の結婚式の

準備を始めるのだ。

 

 

席数は当然のごとく200〜300。

 

 

野生の中を激しく走り回る猛獣のように。

 

カラオケパーティーで騒いで

「どうやればこんなにちらかるんだ??」

 

と思いたくなるぐらいに

散らかしたテーブルを

すぐさまに片付ける。

 

料理は大して美味しくないのだろう。

 

テーブルの上に置かれている皿の上には

食べ残された料理たちが

悲しそうに立ち並んでいる。

 

感情を持たないロボットのように

社員、バイトたちが

一斉に片付け残飯と化す。

 

テーブルを決まった位置に移動し、

テーブルクロスを交換し、

いすをキレイにする。

 

30分もすれば次の会場の形が

ほとんど出来上がっている。

 

 

来賓が入場するギリギリまでに

フォークや皿、コップ、引き出物などを

置いていく。

 

 

新郎新婦の席は高台だ。

 

高台を移動するのはかなり力仕事。

しかも結構危険。

 

結婚式の規模によっては

移動することもあるし、形を変えることもある。

 

一気に握力がなくなる。

やっていることは

まさに職人技。

 

 

式場に入ってきた来賓たちは

朝から整然と並べられていたかのように

思っている・・・

 

 

数秒前まで会場準備をしていたことなんか

一生知らないと思う。

 

中には昨日のうちに準備していたと

思っている人もいるはずだ。

 

 

それを感じさせないところはプロだ。

言い訳はしない。

完璧にやり切る。

 

そして、お客さんに喜んでもらう。

これぞ、職人であり、プロといえる。

 

 

クソバイトでもこの職人技は学べたと思う。

 

 

2回目の結婚式が終わり、

3回目の結婚式の準備をはじめる。

 

13時半入場、14時から式開始、

2時間半の楽しい時間を過ごし

30分かけて会場を後にする。

 

 

18時から次の式が始まる。

 

2回目の時と同じように激しく動き回り、

次の準備をする。

 

3回目は21時ぐらいに終わる。

そこからやっと片付けだ。

 

 

1日の仕事を終えることが楽しみになっていた。

 

 

もう身体は限界に達しクタクタだ。

 

ダラダラと3回目の結婚式の片付けしたあとに

待っていたのは

なんと「夢にも思っていなかったご褒美!!」

 

ではなく

次の日の結婚式準備・・・

 

 

夢にも思っていなかった悪夢・・・

 

 

さっきも言った通り、

6月の結婚式ブームは信じられないほど

過酷な労働だと思う。

 

週末の土日は結婚式3本立てフィーバー。

 

次の日の準備は時間制限はないが、

ダラダラやっていられない。

 

サッサとやってしまって

次の日に備えなければならない。

 

その日の幕が閉じるのは23時頃。

 

僕は朝8時ぐらいから働いている。

 

15時間も地獄にいた。

僕の稼いだ給料はなんと

 

9000円

 

 

600円 × 15時間 = 9000円

 

残業手当なんか関係ない。

一律600円

 

それが2日間続く。

週末の前日は結婚式準備があるので

学校帰りから働いている。

 

15時半から21時半までだ。

 

 

つまり僕が3日間で稼いだ金額は

4時間と15時間と15時間

合わせて34時間

 

600円 × 34時間 = 20400円

 

地獄のように働いて

たったの2万円・・・

 

 

34時間といったら

週40時間にせまる勢い。

 

まともな会社ならもっともらってもいいはず。

 

しかし、いくら何を言っても、

もらえるのはたったの2万円。

 

過酷な労働は

体力を激しく消耗し何度か

心が折れそうになった。

 

そうはいっても高校生にとっての

2万円は大金だった。

 

 

2万円もあればなんでも

できそうな気になっていた。

 

今考えると結婚式を

挙げてくれる人がいるからこそ、

バイト代がもらえるのだと思うと

 

なかなか面白い経験をさせてもらえた。

 

当時はそんな生易しいことは

微塵も想像できなかった。

 

さらに、壮絶なのは

結婚式だけじゃ終わらない。

 

 

本能的に

「楽しい」

「また来たい」

「これはすごい」

 

とか幸せを感じるものにはたいてい裏がある。

 

結婚式のように華やかな会場があれば

壮絶な裏方がある。

 

 

提供している人が幸せであればいいのだが、

そんな仕事はどれだけあるのか・・・

 

 

忘れらない人

そんなバイトでも忘れられない人がいる。

 

良い意味で。

 

 

結婚式場でいつものように

バイトをしていた時に

 

いかにも年上で二十歳ぐらいの

ついつい一目惚れしてしまいそうなぐらい

キレイなお姉さんが働いていた。

 

その時に初めて見たのだが、

いかにも慣れた手つきだった。

 

 

そのお姉さんは

結婚式が立て込んでいる時期に

バイトに来ていた。

 

他に、もっとまともなバイトが

あるはずなのに

「なぜこのバイトをしているんだろう?」

と不思議に思った。

 

 

いてもたってもいられず

タイミングを見計らってたずねてみた。

 

高校生のこばりん
高校生のこばりん
なんでこのバイトしてるんですか?

 

お姉さん
お姉さん

昔ここでバイトしている時に

結婚式でウェイターをやったの^^

 

その時の結婚式を見て

ものすごく感動して

泣いてしまったんだーー

 

 

すっ、凄い・・・・

 

 

感動という想いが

過酷な労働を超えている。

 

お姉さんにとって

結婚式で働くことが幸せなんだ、

と思った。

 

 

だけど、そんな人は極めてまれだ。

他にそんな話は聞いたことがない。。。

 

町一番のビッグイベント到来

ギンギンに太陽の光が照らしだす

真夏に街を挙げてのビッグイベントがある。

 

全国一の花火大会

 

他の市町村からも

観光客がドッと押し寄せてくる。

 

 

県内だけでは収まらず、

はるか遠い関東からもやってくる。

 

小さな東北の田舎町に

東京やその周辺地域から

ものすごい数の人がやってくる。

 

無論、関西からも人が押し寄せて来る。

 

集まり方がハンパじゃない。

 

街中が人で溢れかえる。

 

乗車率100%を超える満員電車の中を

となりの車両に移動するために

人が歩くような状況だ。

 

人口10万人の街が

突如としてその日だけ70万人になる。

 

それだけの人を魅了する

花火大会が繰り広げられるわけだ。

 

 

バイト先の結婚式場は

そんな花火大会を指をくわえて

見過ごすわけがない。

 

花火大会を満喫してもらうために

屋上をビアガーデン会場にして

料理やお酒を振る舞う。

 

見たことはないけど、

お客さんは昔の貴族のように

さぞかし盛り上がっていると思う。

 

 

ビアガーデンの会場作りは

思った以上に過酷だ。

 

まず全く何もない

1年中ほったらかしにされた屋上を

キレイにするところから。

 

ある程度キレイにした屋上を

会場とするために

テーブルやイスを次々と雪崩のように運び込む。

 

 

その建物は3階建て。

当然、屋上はその上にある。

 

テーブルや数々のイスは

一階の職員玄関から

 

外に出て少し進むと物置きという名前の

ワゴン車が4台は入りそうな

古びた小屋がある。

 

必要なものはほとんど

そこに置いてある。

 

半径が背丈よりも長い

2つ折りにされた合板の

ズッシリとした重みのあるテーブル

ひたすら運ぶ。

 

大きなテーブルで視界はほぼゼロの状態に。

 

 

狭い玄関をくぐり抜け、

左側にはすぐさま2階へと続く階段がある。

 

学校の階段のように

2階に上がれば

すぐに3階に繋がる

らせん状の階段ではない。

 

 

2階に上がってから一度通路を歩き、

3階へ上がる階段へ

行かなければならない。

 

人がすれ違うことが

ギリギリの道を通り、

やっとのこと屋上へたどり着く。

 

それを10回ぐらい繰り返す。

 

 

ようやくテーブルを

運び終えたと思ったら、

次はイスやら会場を盛り立てる

 

道具を運び出す。

 

 

そして、突然にそれは起こった!!!

 

何往復かゲキ重のテーブルやら

重なった椅子を運び出しているときだった。

 

暑さを照らしつけられるのと

それまでの疲労が相乗効果を生んだのか、

屋上への階段を上る途中に

左のふくらはぎをつってしまった・・・

 

 

高校生のこばりん
高校生のこばりん
つっ、つりそう・・・つりそう・・・

 

そう呟きながら運んでいた。

 

 

そして、その瞬間は来た・・・

 

 

高校生のこばりん
高校生のこばりん
 ぇぇぇぇぇぇぇーーー(怒)

 

もろくも、左足のふくらはぎがつりあげた。

 

次の瞬間

運び出しの流れが止まり、

 

そこにいた人たちは

手を下ろした。

 

 

高校生のこばりん
高校生のこばりん
あ゛ぁぁぁぁぁぁぁーーーーーー(怒)

 

と叫んだ瞬間、

 

長年バイトしている40代ぐらいの

寡黙なお祭り好きの

 

ジジイが突然怒鳴り上げた。

 

 

ジジイ
ジジイ
うるせっーーーーー怒怒怒怒怒

 

怒号に辺りは静まり返った。

 

 

そんなハプニングがありながらも

無事にビアガーデン会場は完成した。

 

だが、それで終わりでは

なかった。

 

結婚式場などで使っている会場も

パーティー会場として設営するのだ。

 

またもや、次から次へとテーブル

などを運び出す。

 

さらに、畳みまで運び出した。

 

社員たちの中には一気に畳み3枚を

持ち運ぶ人もいた。

 

テープルだと2枚も。

 

この過酷な職場で

筋力もメンタルも

相当鍛えあげられているのがわかる。

 

まるで軍隊としか言いようがない。

 

はっきり言って100%ブラック企業だ!

 

そんなこんなで花火大会は

多くの人を魅了した。

 

何事もなかったかのように

1日を終えた次の日には

「ヒーヒー」

言いながら物置き小屋へと片付けた。

 

花火大会のバイト

ほとんどの同級生は

思春期を花火大会で満喫している中、

僕はいそいそとバイトをしていた。

 

 

花火大会に

初めての駐車場案内というものをやった。

 

ものすごくビックリ、驚愕した!

 

こんな楽な仕事があるのかと。

ただ座って、

来た車を決まった駐車場に案内するだけ。

 

それだけで1万円ももらえた

 

 

実はバイト先のマネージャーから

花火大会の日に2種類のバイトがあるけど

どっちかやらないか?

 

という提案を受けていた。

 

1つは駐車場案内

もう1つはパーティー会場の裏方。

つまり結婚式場と同じやつ。

 

バイトするかどうか自体を悩んだが、

15時から21時までの6時間でバイト代が1万円だった。

 

どっち選んでも1万円。

いつもはたったの時給600円。

 

6時間で1万円ということは

時給が1500円を超えることに・・・。

 

 

お金が欲しかった僕にとっては

高校生のこばりん
高校生のこばりん
めちゃくちゃ割良いじゃーーん!!^_^」

 

と思ったので

少しだけ悩んだ結果やることにした。

 

 

駐車場案内を勧められ、

なんとなく説明を受けていたら楽そうだったから

案内係をすることに決めた。

 

さらにマネージャーに聞いてみた。

 

高校生のこばりん
高校生のこばりん
パーティー会場は何時までやるんですか?

 

マネージャー
マネージャー
23時ぐらいかなー??

高校生のこばりん
高校生のこばりん
駐車場案内終わったらそっちいってもいいですか?

マネージャー
マネージャー
おっ!!いいよー^^

高校生のこばりん
高校生のこばりん
バイト代ってもちろん多いんですよね?

マネージャー
マネージャー
そりゃ、そうでしょー^^

 

これが決め手だった。

バイト代がいつもより高い。

脳内はこうだ。

 

高校生のこばりん
高校生のこばりん
6時間で1万円でしょ!!・・・

21時から23時まで2時間だから、、

1万円を3で割れば3333円だよなーー・・・

 

高校生のこばりん
高校生のこばりん

じゃあ、バイト代は13500円ぐらい貰えるかなーー

(ニタニタ、へへへ・・・ヨダレだらー)

 

 

 

思春期の高校生

全国一の「花火大会」

 

堪能する大切な思い出を

差し置いて僕はバイト代が高額にもらえる

というだけの理由で

 

バイトするというストイックな道を選んだ。

 

 

仕事を終えてからは

高校生のこばりん
高校生のこばりん
バイト代はいくらなんだろうなー?

でへへーーーーっ^^

 

と楽しみにしていた。

 

その時のバイト代の支払い方法は

いつもと違った。

 

いつもはバイトした2日後に

事務所に受け取りにいくシステムになっている。

 

おそらく他に

単発バイトで働いてる人もいるからか、

その日に限っては即金手渡しだった。

 

高校生のこばりん
高校生のこばりん
知らない顔がいるなーー・・・

 

と確かに思っていた。

 

 

そして、ついにその時は来た!!!

高校生のこばりん
高校生のこばりん
来たぞ来たぞーーーーっ!! ニヤニヤ

 

 

マネージャーがバイト代が入った袋を持ってきた。

いつもよりも心臓がバクバクいっている。

 

そして、

 

高校生のこばりん
高校生のこばりん
ありがとうございますっ!!!!

マネージャー
マネージャー
駐車場案内と片付けの仕事だからそのぐらいでしょ^^

 

マネージャーはそう言いながら

僕に手渡した。

 

ニタニタしながら浮き足立ったかのように

茶封筒の給料袋をもらった。

 

他の単発バイト達はすでに帰っていた。

 

 

給料袋を手にしていると

心臓の鼓動が高まる。

 

「ドックン、ドックン」という

僕の心の中に響き渡る振動が鳴り止まない。

 

今までで一番高い給料をもらうからだ。

楽しみでしょうがない。

 

 

その場でホッチキスで留められた

茶封筒の封を切った。

 

 

待ちに待った給料。

 

高校生のもっとも大切なひと夏の思い出を

犠牲にしてまで働いた給料。

 

 

高校生のこばりん
高校生のこばりん
んっ??

 

茶封筒を貰って気になった事が一つだけあった。

 

もらった瞬間に感じれなかった

ジャラジャラという

小銭の感覚がないことぐらい。

 

 

高校生のこばりん
高校生のこばりん
まー、確かにビッグイベントに小銭は似合わないよなー^^

 

と思いながら、

茶封筒の中を覗いてみた。

 

 

諭吉色が見えた。

 

茶色よりも黒い、

焦げ茶色とでも言うのか。

 

僕の鼓動はさらに高まった。

 

 

むしろこの場合はハートビートと言った方が

正しいのかもしれない。

 

 

人生の中でも

ごく稀にしか味わうことのできない

身体で感じる喜びというもの。

 

 

諭吉くんのうしろに隠れている

漱石ちゃんが見えてきた。

 

 

高校生のこばりん
高校生のこばりん
ほぅーっら、出ておいでーーー。ニタニタ

 

 

心の中で漱石ちゃんを数えた、

 

高校生のこばりん
高校生のこばりん
えぇぇっと、1枚、2枚・・・・・

高校生のこばりん
高校生のこばりん
うっっっっっ!!!!!???????

 

異変に気づき、

すぐさまお札を袋から取り出した。

 

・・・

 

・・・・

 

・・・・・

 

 

 

12000円!!!!!

 

 

どうみても他にお金はない。

 

封筒を逆さにしても

出てくる気配が一向にしない。

 

目の前にはマネージャーがいる。

 

 

高校生のこばりん
高校生のこばりん
これって少なくないですか(ちょいギレ)

マネージャー
マネージャー
んーーー、支配人がそのぐらいだろうって言っててねー^^

高校生のこばりん
高校生のこばりん
はぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーー怒怒怒怒怒怒
マジふざっけんなよっ(怒ッ怒ッ怒ッ怒)

高校生のこばりん
高校生のこばりん
おれのひと夏の思い出どうしてくれんのよっ!!これーーっ!!

 

帰りのチャリでブツブツ口ずさみながら

僕の高校最後の夏は終わった・・・

 

 

 

 

 

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