【6章】人生最大の分かれ目!クビ宣告されたダメ先輩を反面教師にした派遣社員時代

前回までのあらすじ

「悲鳴のような叫びの中で行われたロウソクの実験、友達が突如として性格が変わった話し、入学式の朝におきたチン事件」

まるでウソのような本当の話しがひっきりなしの満載状態。

専門学校を卒業したこばりんは地元に戻り、果たして立派な大人になれるんだろうか?

【5章】心機一転のインストラクター養成校!?崩壊の4重奏が響き渡る!

 

 

こばりん
「おれは一生このままなの?」
こばりん
「おれは一生、手取り14万円のままなの?」
こばりん
「おれは一生、派遣社員なの?」
こばりん
「おれは一生、12時間労働なの?」
こばりん
「おれは一生、昼夜逆転現象を毎週毎週やっていなきゃいけないの?ハムスターかよ!」
こばりん
「おれは一生、皆勤手当てっていう目の前に吊るされた人参におどらされるの?」
こばりん
「おれは定年になっても派遣をやりつづけてんの?」

 

みじめな派遣社員生活

 

派遣社員のときにおれはこれからの生き方を本気で考えさせられた。

 

派遣社員は社会的にかなり立場の弱い人たちだと思う。

好きで派遣社員になっている人はいない。

 

一緒に働いていた同僚たちは仕方なしに派遣をやっていた。

  • 会社が危なくなったら一目散にクビの対象になる
  • どんな理由だろうがいつでもクビになる可能性がある
  • 給料が安すぎてこき使われている感じがする
  • 休みが取りづらくて家族と時間を過ごせない

 

おれの偏見かどうかは知らない。

でも、おれは自分で自分を「かわいそう」だとおもっていた・・・

 

他の人は「まー仕事があるだけいいんじゃない」とか言うけど、とうていそんな言葉を受け入れることはできなかった。

親戚や友達から「なんの仕事してるの?」と聞かれるのがホントに嫌だった。

 

「へー」と言ってくる心の奥底にはどんな気持ちでいるのだろう・・・

「いつまで働けるんだろうね」とか「給料やすいんだろうな」とか思ってるに違いない。

 

そんな気持ちにしかなれなかった。

 

・・・・・・・

 

夕方の地元ニュース

 

ニュース
「夕方のニュースです。○○産業株式会社の社長△△が脱税をした容疑で事情聴取を受けています。」

 

こばりん
「・・・・、んっ!!??これって今の派遣会社じゃね??」

 

数日後、派遣会社の所長から派遣先の工場で働いている派遣社員に話しがあった。

 

工場内の休憩室に30人近くの派遣社員に説明をしに派遣会社の所長といつも何かと世話をしてくれた担当者の2人がきていた。

 

所長
「先日、ニュースを見た人もいるかもしれませんが、社長が脱税で逮捕されました。

この会社は今月いっぱいで倒産します。

来月からは私たちが新しく派遣会社を起こします。

みなさんがよろしければ今と同じ条件で働いて欲しいと思います。

ぜひお願いします。」

 

その後、廊下で担当者から直接質問された。

担当者
「どう?続ける?仕事できるって他の人が言ってたよ・・・」
こばりん
「いや、やめます・・・・」
担当者
「ほんとにが!!??」
こばりん
「はい・・・」

 

派遣社員として働き始めた11ヶ月後に起きた突然の倒産通告。

 

働くおれたちにとってみれば事実上のクビを宣告された。

寝耳に水のような状態であった。

深い眠りについていたかと思うとバケツ一杯の水を思い切り顔面にバシャーーンとぶっかけられたかのように。

 

おれ以外のほかの派遣社員たちにとっては・・・・

 

それでも派遣社員になるしかなかった理由

 

インストラクターの専門学校を卒業した3月には就活なんかまったくしていなかったので無職だった。

 

とくにやりたい事もなく、やる気なんかサラサラなかった。

高校の卒業ぶりに田舎の実家にまたもや生活することにした。

 

なんもやりたくない・・・

 

でも、この先は何もすることがなかったので、だまって家にいるなんてことは言ってられない。

とりあえず働くことにした。

 

ハローワークに行こうにも行くというやる気がおこらない。

 

家にとどく新聞にはさまっている折り込みチラシの求人広告を何気なしに見た。

 

「月21万円以上可、夜勤有り、入社祝金有り」

 

目についた求人のうたい文句がこれだ。

どうせやるなら給料がなるべく高い方がいい。

休みの日数は全然気にしなかった。

 

ちなみに「月21万円以上可」というのはこれが総支給額の上限という意味なのは働いてから知った。

 

とりあえず広告に載っている会社の番号に電話した。

直後、すぐに面接をすることになった。

 

いそいで履歴書をゴミゴミとした荷物から掘り起こしてせかせかと準備した。

幸いにも履歴書は専門学生時代に書き方を授業でやっていたので紙自体は持っていた。

 

っていうか履歴書の書き方を授業でやるっておかしくない??

 

そんなこんなで高校卒業のときに買ったスーツを着て、運命的にであった寮の前に捨てられていた革靴をはいて面接に向かった。

 

派遣会社の面接はただの形式だった。

あれはだれでも合格する。

もし落ちるとしたら面接だというのに話しかたがあまりにもタメ口とか座りかたがヤンキーだったりした場合だけだと思う。

 

「日本の社会で育って、幼少の頃から適当にしつけられて、目上の人には逆らっちゃダメ」みたいな教育を受けている人ならまず合格する。

 

コツコツと感覚で身に付けた「外づら」を披露するだけだ。

大抵の人はオートマッチクで発動するはずだ。

 

はっきり言ってしまえば

「普通に会話ができる」

なら合格だ。

 

「バカげた面接だなー」と思いながら面接は終わった。

面接のときにどんな会社なのかってことを知ってるか聞かれた。

 

こばりん
「えっ?工場じゃないの?」

 

と思い、とっさに答えた。

 

担当者
「ここは派遣会社なんですよ。派遣って知ってます?」

 

あの折り込みチラシは派遣会社のチラシなんだと今さらながら気づいた。

簡単にシステムを説明してもらい、後日工場の面接を受けることになって面接は終了した。

 

派遣会社で面接した次の日に電話が鳴った。

担当者
「希望の工場の面接が明日にできそうだけど大丈夫?」

さっそく工場へ面接しにいった。

 

どれだけ厳しい面接をするのかドキドキした。

 

結果は派遣会社のときと同じくただの形式だった。

「普通にお話しできますか?」

というレベルの面接だ。

 

たしかに普通の会話ができなければ仕事ができることはまずないだろう。

だからと言って、これといった資格がいるわけでもない。

 

派遣会社や工場が求めている人材とは

「言われたことだけをやる人間」

だけが欲しいんだなと思った。

 

しょせんは派遣社員という扱いなんだろう。

工場で働き始めてから派遣社員にまつわるいろんな話しを聞いた。

 

先輩派遣社員
「過去に経営が厳しくなったことがあったんだけど、そのときに働いていた派遣社員は全員いなくなったよ。」
先輩派遣社員
「給料は昇給することはないよ。ボーナスなんかもってのほかだよ。」
先輩派遣社員
「ここの職場はきびしいよー。とくに身だしなみがねー」
先輩派遣社員
「正社員の登用の可能性有りって書いてあるけど、今までだれもいないからね」
先輩派遣社員
「皆勤賞っていう名の遅刻したら給料から天引きされる制度だよ」
先輩派遣社員
「優秀な派遣社員がいるけど何年も正社員になれないよ」
先輩派遣社員
「3日ぐらい来て急に来なくなるやつとか何人もいるよ」

 

どれもキズに塩をぬるような話しだ。

「酒の肴にはもってこいっ!!」としか言いようがない。

 

うなだれるような日々

 

働き始めて3ヶ月が過ぎた。

工場勤務とは実にヤバい!

本気でヤバい!

 

おれにはムリだ・・・

 

そう思いながらも3ヶ月も経った。

まるで地獄絵図だ。

 

リモコンとか携帯とかテレビとかに入っている1ミリや2ミリぐらいの大きさの電池のようなチップを信じられないぐらいの数を工場では大量に生産している。

 

労働時間は休憩を入れて1日12時間。

おれに与えられた仕事はじつに簡単だった。

 

あっつ熱の数100℃の巨大なオーブンのような機械の中で焼き付けられたちいさなちいさな数ミリ大のチップが金網にブゥワァーと広がっている。

 

金網の数はチップによって枚数が決まっているのでそこは注意が必要だ。

このひとまとまりをロットという。

 

金網がベルトコンベアで流されてくる。

流れてきたら取り出して、キャスター付きの台車に1つのロットがはぐれないでまとまるように積んでいく。

 

積んだチップは別のところに運びだして、次はそれを1ロットごとに金網からすべて取り出す。

取り出したら袋詰めにして次の工程に渡す。

 

というところまでが俺の仕事だ。

 

簡単に説明しようと思う。

 

食パンを想像してみて欲しい。

トーストパンを作るためにベルトコンベアが流れるトーストの機械にパンをドンドン並べていく。

並べていくパンはまとまりごとにあって、それぞれ種類やかたちが違うし枚数も違う。

 

1まとまりのパンはバラバラにならないように同じ種類でまとまるように気を使う。

 

工場ではこの1まとまりを1ロットという

 

このとき、パンの種類によって枚数が違うから気をつける。

1ロットごとに枚数が違う

 

出口に流れついた焼き上がったパンを同じ種類でひとまとまりになっているのだけをまとめて一つの袋につめる。

一つのロットをひとまとまりにして袋づめにする

 

そして、ひと袋ごとに決まっている行き先へ持っていく。

 

やることはたったのそれだけだ。

それを12時間やる。

 

こばりん
「・・・・・・・」

 

入社してすぐは仕事を覚えるので必死だった。

 

説明をしてくれてる人の説明がヘタでなにをいってるのかよくわからない。

 

とりあえず身体を動かして覚えるしかない。

奇妙なアルファベットの記号がたくさんある。

 

意味が分からない。

 

働き始めてから1ヶ月後・・・・・

 

なんとなく仕事は覚えた。

 

最初に仕事を教えてくれた人は初めて会った日の5日後にいなくなった。

 

働いているうちに奇妙な記号の意味は何となくわかってきた。

その記号はチップのロットを示していた。

 

ときどき「やけど」することもあった。

 

チップを焼いている部屋はチップを焼く専用の部屋だった。

ふつうにサウナよりも暑い高温だった。

 

その部屋にいるとほっぺやクビや背中がベトベトしてくるので長い時間、部屋のなかにいたくなかった。

 

3ヶ月後・・・・・職人レベルになってきた

 

教えられた仕事はかなりできるようになった。

むしろ作業スピードをコントロール出来るようになっていた。

 

ひとつ一つの作業ごとに体内時間を計れるようになった。

つまり極めはじめていた。

 

5ヶ月後・・・・・逃亡ってありなの?

 

まかされた仕事がチーム内で一番優秀にこなせるようになっていた。

他の人を手伝うこともよくあったし、誰かに言われることもなく別のあたらしい仕事を勝手に覚えはじめた。

 

さらに想像もしていなかった珍事が相次いで起きた。

おれが入社したあとからも数人の派遣社員が新しく入社してきた。

 

年齢は見た目で40歳ぐらいが多かった。

その中のひとりで40歳すぎの派遣社員がおれのいる班に入ってきた。

 

前はどこかの会社でサラリーマンをしていたらしい。

結婚はしていなくて、父親と母親と3人で暮らしている。

 

3日後、その人は消え去った・・・・

 

無断欠勤である。

 

派遣会社の人は慌てふためいた様子で

担当者
「○○さんどこいったか知ってる?(汗)」

と聞いてきたが知るわけがない。

 

携帯に何度かけてもつながらないらしい。

 

父親に連絡したら「朝は普通に仕事にいった」と言っていたようだ。

 

さらに3日後・・・・

いまだに見つからない。

 

連絡はつかないまま。

 

休憩中に長年働いている派遣社員の先輩とタバコをふかしながら話していた。

 

こばりん
「○○さん病気ですかねー??仕事復帰できるんですかね??」
先輩派遣社員
「もう来ないよ。いきなり無断欠勤するようなやつはもう来ないよ」
こばりん
「えっ!!!そうなのっ!!」

と、内心あせった。

 

社会人になって初めて見た仕事拒否。

 

学生時代に自分はよくやっていたものだが仕事でやりのける人がいるなんて・・・

急に発症して病欠したと勝手に思い込んでいた考えは甘いんだと気づかされた。

 

さらにさらに3日後・・・・

見つからない。

 

不安がよぎる・・・

 

生きてんの・・・

 

失踪から2週間後、

ようやく連絡がついた。

 

なんと車で何百キロもはなれた長野県まで失踪していた。

 

父親が迎えにいき、そして工場に謝罪にきた。

そして工場で働くことはなかった・・・

 

先輩の言ったことが的中した。

こばりん
すごい・・・

 

なぜ失踪したんだろう??

 

派遣社員で働くのが嫌になったのかも。

後日、派遣会社の担当者に会うことがあり聞いてみた。

回答はこうだった。

担当者
「心が病んでるらしい・・・」

 

・・・

 

本当か・・・??

 

真実じゃない気がする・・・

 

「派遣生活がツラかったから受け入れられずに逃亡した」

 

っていうのが真実じゃないの?

と思っていた。

 

ぶっちゃけおれも辛かった。

何度も何度も考えた。

 

こばりん
「おれは一生このままなのだろうか?」
「おれは一生、手取り給料15万円のままなのか?」
「おれは一生、派遣社員なのか?」
「おれは一生、12時間労働なのか?」
「おれは一生、昼夜逆転現象を毎週毎週やっていなきゃいけないのか?」
「おれは一生、皆勤手当てという名の馬の目のまえにつるされた人参に踊らされるのか?」
「おれは定年になっても同じことをやりつづけるのか?」

 

こばりん
「ありえねぇぇぇぇぇっ!!!!!」
こばりん
「ぜったい・や・め・て・や・るぅっぅぅぅぅぅ!!」

 

手をギュッとにぎりつぶしながら固く決意した。

 

入社する前から働いている同じ担当の先輩派遣社員Hさんがいた。

Hさんにはいろんな意味でとてもお世話になった。

 

Hさんはおっとりした話し口調で怒るなんてことはなかった。

10人に1人はいそうなおっちょこちょいな性格をしている。

 

派遣の先輩Hさん
「最初からこの職場は結構大変だよー」
こばりん
「どうしてですか?」
派遣の先輩Hさん
「ここは規則が厳しいからねー。労働時間も長いし・・・。前に他の工場にいたんだけど、そこは全然厳しくなかったよ。」
こばりん
「へーそうなんですか・・・」
派遣の先輩Hさん
「ここは工場だけどヒゲ伸ばしちゃダメだし、時間もきっちりしているからねー」
こばりん
「へー・・・・・」

 

こんな風に派遣社員の悩みというか日常の思いを話してくれた。

 

ときには夢を語ってくれた。

 

先輩派遣社員のHさんが語った夢物語り

 

いつものようにおどおどした口調で淡々と感情を入れずに、はかない夢についておれに語ってきてくれた。

 

派遣の先輩Hさん
「将来、どうしようとか考えてる?」
こばりん
「いやー全然考えてないですねー」
派遣の先輩Hさん
「ずっとここにいるつもりだが??」
こばりん
「んーわかんないですねー・・・」
派遣の先輩Hさん
「おれはよー、派遣する会社の社員に引っ張られたいんだよ。
前に一緒に働いている人ができる人だからってことで『派遣会社の社員にならない?』って声かけられて引っ張られて行ったんだよ。
おれもそうなりでーなーって思ってる。」
こばりん
「へーーー、派遣会社の引っ張られる人なんかいるんですねー」

 

はかない夢を語っているHさんはワクワクしていてとても嬉しそうだった。

 

他にも乗りたい車の話しもしてくれた。

 

Hさんがやってしまったクビ宣告された重大なミス

 

そんなHさんはときどきドジもしたものだ。

工場のボスがマジギレするぐらいの・・・

 

課長
「おいっ(怒)何やってんだよっ(怒)」

 

工場で働いている人たちにとってはワキ汗がジャバジャバと湯水のように止まらないぐらいの重大なミスが起きた。

 

むしろ止まってはいけないのかもしれない。

 

なにが起こったのかというと、工場のなかにある膨大にある小さな重要チップを混ぜてしまった・・・

 

数えきれないほどある無数のチップはロットにひとまとめにして分けれている。

ロット内にはチップ100万個あるなんてことはザラだった。

 

1日に150を超えるロットをおれたちは相手にしている。

トータル1億個を超えるチップが目の前を流れて行く。

 

チップはロットごとに規格が違うために別のロットと混ざってはいけない。

明らかに色が違ったり、大きさが違ったりする。

似ているものがあって同じように見えたりもするけど微妙に規格が違う。

 

おれとHさんがやる作業はチップをロットごとにまとめて次の工程に渡すこと。

派遣社員たった2人だけでやっている。

 

Hさんは次の工程の仕事もできた。

さすがは先輩だ。

おれが入社する前に教えてもらっていたらしい。

やったところを見たことはないが。

 

だからHさんはバラバラのチップをひとまとめにして次の工程に渡すだけではなかった。

親切にも次の工程の最初の部分だけを善意でやってあげていた。

 

・・・・・

 

そこで悲劇は起きた。

極たま〜に非常に重要だと言われるチップが流れてくることがある。

 

簡単にいうと高価なチップだ。

 

見た目は他のチップとなんら変わりないんだけど非常に高価らしい。

企業がいう高価なんだから相当なものだと思う。

 

その高価なチップを他のチップと混ぜてしまったのだ・・・

 

それ以来、Hさんは影で「リーチ」と呼ばれていた。

 

いわゆる次に何か問題を起こしたら「クビ」ということだ。

ときどき、ミスはしていたが今回のミスは企業にとってダメージが大きかった。

 

幸いまじりあったチップは大きさがほぼ同じだったけど明らかに色が違った。

 

金色とピンクぐらいの見ためがちがった。

 

それからというものHさんは空き時間をみつけては混ぜてしまったチップを取り分けた。

2つのロットを合わせると間違いなく100万個以上ある。

 

机の上に30個ずつ広げてチマチマと分けていった。

何日も何日もかかった。

 

残業代のつかない残業をやっていた。

休日を返上してわざわざ工場に出向いて作業した。

 

工場のなかではウワサが耐えなかった。

 

またミスしたよ・・・・

次ぎミスしたらクビらしいよ・・・

 

そのうち、親切な何人かが手伝ってくれた。

 

1週間経ってもゴールはさっぱり見えてこない。

 

2週間経つと折り返し地点に近づいてきた。

 

1ヶ月ほど経つと終盤に差しかかっていた。

間もなくゆうに1ヶ月以上を超える大掛かりだった作業は終わった。

 

かわいそうなことに残業した分は全てサービス残業だった。

 

派遣の先輩Hさん
「マジ死ぬがど思ったーーー^^やっと終わったーー^^」

 

ことなきを得たHさんは安心した表情で話しかけてきた。

 

半年後に派遣会社が倒産するなんてまったく知る由もなかった・・・

 

医療職を目指すことに決めたのだが・・・

 

やっとのこと派遣社員に疑問を持ち始めたおれはついに

「どうなりたいか?」を考えはじめた。

 

12時間労働、手取り15万、昼夜逆転、クビリーチ、倒産、皆勤手当て・・・

 

こばりん
「おれは一生こんなことに振り回されなきゃいけないのか?」
こばりん
「いやだ・・・・・」

 

 

そして、考えた。

 

・・・・・

 

考えに考えた。

 

・・・・・

 

こばりん
「今後はどうしたものか・・・」
こばりん
「なにかやんなきゃこのままだ・・・」

 

考えた結果、20歳という人生経験のない青年が目指そうと考え出したものは「公務員」でだった。

誰もがなんとなく脳裏をよぎる公務員。

 

理由は単純明快で世間からいわれていることと同じ。

こばりん
「公務員目指そう!8時17時だし、給料も年功序列で上がっていくし、クビなることもないし、倒産することもないし、皆勤手当てなんていう意味わかんないのないしね。
安定してるから、振りまわされなくていいしな。」

 

結局はそんな理由だった。

その夜、母親に相談したところ、医療系の技術職といわれる職種を紹介された。

 

公務員ではないけれど年功序列で昇給していくし、公務員ほどの針のあなを通すほうが簡単なんじゃないかというぐらい入社のハードルが高いということもない。

 

だから、なんとなく安定感がありそうな医療職を目指すことにした。

 

医療職になるためには資格がいる。

だから学校に入らないといけない。

 

高校生のときとはちがって今度は真剣だ。

 

学力がないから大学は最初から諦めていた。

なんとなく入りやすそうな専門学校を探した。

 

たまたま好きな科目の数学のみで受験できる学校が都心に2つもあった。

考える余地なんか一切なかった。

 

「背に腹はかえられぬ」とはこのことを言うんだろうと思った。

 

その2つの学校をさっそく受けることにした。

都合よく受験日まで3ヶ月ほどあった。

 

といっても合格するにはある程度の学力が必要だと思っていたので、今年は練習がてら受けるだけにしようと決めていた。

 

本番は来年に見据えている。

 

すぐに本屋にいって、過去問と教科書を買った。

 

自分の勉強のために教材を買うなんて初めてだった。

まー、そんなことは言ってられない状況なのはわかっていた。

 

なんて言ったって「この先何十年もの人生がかかってるんだから!」

とりあえず今までのサボった分を取り返すつもりで勉強しなきゃいけない。

 

もちろん派遣社員は続けている。

12時間労働とハムスターのような昼夜逆転現象を日々続けている。

仕事から帰ってきては毎日勉強をやった。

 

1日に2時間、休みの日は5時間はやると決めてやった。

今年はお試し受験だけど、勉強は全力でやると決めていた。

 

願書を投函するときにオミマイしてしまった珍事件

 

願書提出の時期がきた。

たまたま、2校とも締切日が同じだった。

 

運よく受験する2つの学校の試験日が1日だけ違った。

「ラッキー」と思いながら願書をポストに入れた。

 

数日後、願書を提出した学校から電話がかかってきた。

電話口の声は若い女性のものだった。

電話口の女性
「あのー、願書届いたんですが、違う学校の願書入ってました。
もう一度お送りしましょうか?」
こばりん
「っ!!!!!!」

 

なんと封筒の中の願書を互い違いに送っていた。

 

こばりん
「なにやってんだー!!!おれはーーー!!!」
こばりん
「オワターー・・・・・」

 

もう一つの学校からはなんの連絡もこないまま、封筒が送り返されてきた。

 

こばりん
「・・・・こんなにも対応が違うもんなんだなー」
こばりん
「そっけないもんなんだなー」

と感じた瞬間でした。

 

返却された封筒の中身を入れかえて再度、願書を送りなおした。

 

この不手際があったから

「今年は受ける前に落ちたかなー」と開きなおっていた。

 

今回の受験の目的は試験の雰囲気を経験するためにいくので、落ちること前提だった。

来年に受験するときはこの「願書入れ違いミス」のことを学校側は忘れているだろうとふんでいた。

 

実はこのタイミングで派遣社員で仲の良かった同じ年の友達Tに「一緒に医療系に進んでみない?」と誘っていた。

こばりん
「一緒に来年受験しよう!!」

 

そして、Tも一緒に目指すことになった。

ただ、今回のお試しで受験するのはおれだけだった。

Tは予定通り次回受験する予定だ。

 

お試し受験の日が来た。

新幹線で都心へと向かった。

 

学校の近くに前泊して、試験日のために会場の場所確認したりその辺りをウロウロと散策したりと体がフワフワするような軽〜くほどよい緊張感が止まらなかった。

 

次の日から2日間わたって受験した2校を無事に終えることができた。

 

一つ目の学校の試験は意外と簡単だった。

間違えたとしても1問ぐらいかな?と手ごたえはあった。

でも、お試し受験だからとタカをくくっていた。

 

2つ目の学校の試験は難しかった。

1つ目よりもレベルが2段階ぐらい上がっている。

確かに、2つ目の学校の方が、卒業時に受験する国家試験の合格率が圧倒的に高い。

 

こばりん
「どうせ入れるなら、2つ目の学校がいいなー・・・」

と思っていた。

 

合格発表通知の封筒がヤケにガッシリと重く厚みがあった

 

気張って受験していなかったので、程よいさざ波のような緊張感で受けることができた。

2週間ぐらいした頃、1つ目の受験校から通知が来た。

 

こばりん
「んっ・・・!!!」
こばりん
「封筒が厚いな!もしかして・・・」

 

ヤケにズッシリと重く厚みのある封筒の中身は「合格通知」だった・・・

 

その瞬間おれは目の前にいた母親と「人生で初めてのハグ」をした。

 

お試し受験だったのに合格した。

ものすごく嬉しかった。

本当なら次の年に受験する予定だった。

 

「とりあえずお試し受験でもしとくかー」と思わなかったら合格はなかった。

 

次はなんらかの理由で受験できなかったかもしれない。

身内に不幸があったりだとか、お金がなかったりだとか、病気になってしまったりだとか・・・

 

いろんなことが考えられる。

だからこの時に合格して本当に良かったと思う。

 

こばりん
「これで心底ツラかった派遣社員生活が終わったなー・・・」

 

とホッと安堵した。

 

さらに数日後、2つ目の学校から通知がきた。

 

明らかに封筒が薄い。

ピラッピラだ。

紙が1枚入っているかどうかのような厚さだ。

 

もう開ける前から結果はわかっていたが、一応中身を確認した。

案の定、不合格通知だった。

 

第一志望は落ちたけど、1校だけでも合格していればラッキーだった。

だって、これで人生が変わるんだから^^

 

だから、落胆はすることは全然なかった。

 

合格したことをすぐにTに電話で伝えた。

すると、Tは小さな子どものように喜んでくれた。

 

こばりん
「学年は違うけど来年頑張ってな!ずっとこのまま派遣社員でいるより絶対良いから!」

 

と励ました。

 

ほどなくしてTは工場本社のお偉いさんに呼ばれ、派遣社員から工場の正社員へ引き抜かれた。

おれが唯一知っている派遣社員からの正社員への引き抜きだ。

後にも先にもこれしか知らない。

 

そして、医療系へ進むことなく工場勤務を倒産するまで数年間続けた。

 

次章
【7章】2度目の専門学校!人生の目的に異変を感じる1つの出来事!

あらたなる旅立ち。

そこで待ち受けていたのは衝撃的なアニの言葉だった。

もしかしたらおれの人生はこれが正解じゃないんじゃないか?

そう思いながらも数々のバイトをこなしながら国家資格の取得を目指す

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