プロフィール

ひと夏のチャリんこ家出物語「最終話 僕とチャリの生きる道」

 

家出してから何日経ったんだろう・・・

僕の脳はそんなことを考えようとしても、答える数字が少しずれてしまう。

 

橋の下の戦い。

布団で寝たいと思って見知らぬ他人の家のチャイムを押した。

殺風景な雰囲気の宇都宮駅。

まるで、人の群はタバコの煙みたい。

そして、イチャイチャするカップル。

 

僕の体は限界に達していた・・・・

 

 

 

さようなら。お前は俺のママチャリだ。

 

限界にきていた僕は自分に重大な今後の人生を決める2択問題をだした。

 

  1. 身体の限界を超えてこのまま先の見えない東京に行くのか?
  2. 上京をあきらめて実家に帰るのか?

 

 

持ち金は1000円のみ。

体力は極限まで来ていた。

むしろ限界はとっくに超えている。

 

東京に行くとしたら・・・

チャリで行くのか?

それとも宇都宮からだったら電車で上京する選択肢も増えた。

 

実家に帰るか・・・

 

自転車で帰る気はしなかった。

帰る方法を考えてみた。

もしかしたら警察に行ったらなんとかしてくれるかもしれない。

それとも、家族に電車代を振り込んでもらうか。

 

帰ると決めたわけではなかったが姉にメールをした。

母親にお金を振り込むように強引に話した。

 

結果的に母親は息子がどこにいるのかも何に使うのかもわからないのに渋々3万円振り込んでくれた

 

僕はその3万円を握りしめていまだに答えきれていない人生の2択問題を考えていた。

「実家に帰るか?このまま上京を目指すか?」

 

いずれにしろ、自分にとっては大きな決断だった。

 

もうろうとした脳で数分間ほど考えたぼくは再び上京を目指すことを決意した。

 

そして、ここまで共にしたチャリで東京まで行くことにした。

 

 

数分程度しか眠れてないグラグラの脳みそでチャリの場所に歩いた。

「はぁー・・・疲れたー・・・でも、あと少しで東京だ。実家に帰ってもまた同じ生活になるなら東京に行ってなんとかして住み込みの仕事を探して働いた方が絶対にいいっ!!」

 

そして、自転車を置いたところについた。

 

・・・!?

 

・・・・・・!?

 

・・・・・・・・・!!??

 

 

「んっ!???」

 

「チャリがない・・・・!!!???」

 

 

「盗まれた???」

 

ここまで何百キロも何十時間も寝ずに共に歩んできた愛車のママチャリがほんの1〜2時間の間にパクられてしまっていた。

 

次の瞬間、僕の脳みそはギブアップした。

 

 

「もう・・・・・かえろぅ・・・・」

 

何かのお告げだったのかもしれない。

 

 

「もう帰った方がいいんじゃないか・・・」

と言われているような出来事だった。

 

自転車置き場にはチャリがゴロゴロと数えきれないほどあった。

その中の1台がパクられてしまった。

餌食になったのがぼくのチャリ・・・・

 

話が出来すぎている。

確かにぼくのチャリは鍵がなかった。

だからと言って、そんな何百台もある中からカギのない自転車を探すのはムリに等しい。

 

なのに、ぼくのチャリが無くなった・・・

 

直感的にそう思った。

一瞬は盗まれたことにイラっとしたが、これが潮時だと思って実家に帰る選択をした。

 

 

初めて自分で新幹線の切符を買った。

体力的には限界が来ていたはずだった。

まるで、ドラゴンボールの闘ってボロボロになって闘ってボロボロになって、さらに闘ってボロボロになった孫悟空状態。

来ている服は下着以外はずっと同じ。

明らかに臭かったと思う。

 

それなのに帰りの新幹線の中では一睡もできなかった。

 

今まで散々チャリをこいで来た道、横に線のようにシャーシャーと流れる風景を見つめながら電車に揺られていた。

数時間後には地元にいた。

地元を離れて忘れられないほどの出来事を体験した壮絶な1週間を過ごした。

 

新幹線は無情にもあっという間だった。

 

電車を降りて、ついに実家の前についた。

たった1週間だったのかもしれないがすごく懐かしく思えた。。。

 

正直、これほど生きていたことの喜びを身体中で感じた日はないかもしれない。

 

その夜、母親と久しぶりに過ごした。

とくにどこいってたのかとか、どうしてたのか、という話はまーったくしなかった。

 

応募条件、高卒以上

 

帰郷してからドラッグストアで見た初めての求人広告。

 

久しぶりの地元を自転車で走っていた時だった。

いつも行くドラッグストアの入り口に求人広告が貼ってあった。

 

バイトを探す時でさえほとんど見ない求人広告を何気なしに見入ってしまった。

 

求人広告に載っていたある言葉が心に刺さった。

 

「応募条件:高卒以上」

 

その文言を見た瞬間、ぼくは高校だけは卒業しようと心に誓った。

 

季節は夏。

高校では孤独。

麻雀仲間は受験勉強。

 

一人の時間が圧倒的に多くなって孤独を感じる日々が続いた。

 

そんな中、僕の支えになってくれたのはビリヤードだった。

 

ビリヤードをやりに近所のビリヤード場に通っていた。

そのうちビリヤード場の雇われ店員のおじさんとめちゃくちゃ仲良くなった。

 

そのままビリヤードの楽しさに引き込まれ麻雀と同じく生涯の趣味になった。

大会に出ては優勝するぐらいの腕前にもなった。

全国大会にも出場したことがある。

 

 

あいかわらず学校へ通うのは辛かった。

2年の時も退学しそうになったけど、なんとか乗り越えた。

3年も夏休み終えた時点でもう休めなくなっていた。

休んだら留年確定。

 

あと半年頑張れば卒業・・・

同級生にとってみれば学校に行くのは当たり前だったかもしれない。

でも、僕にとっては通うことも大変だった。

何よりも朝起きた時点で身体がだるい、、、

 

やっとのことで目の前まできた卒業式。

なんとかかんとかして卒業にたどり着こうと必死だった。

 

 

ギリギリで卒業した高校。

その後は心機一転し新しい道に進んだ。はずだった・・・・

 

 

家出を乗り越えた先に・・・

 

家出を経験して思うことがある。

この体験は誰もができることじゃない。

 

この家出の話しはほとんど誰にも話さない。

しかし、時たま話すことがある。

すると、大体の人はビックリするし笑ってもくれる。

 

アホだなーと思って聞いているかもしれないけど僕にとっては財産のような思い出になった。

 

僕はテレビ以外で家出をした人の話しを聞いたことがない。

プチ家出は聞いたことがあります。

親と喧嘩して「家を出る」といって出ていったかと思えばその3時間後に家に帰ってるとか。

 

で、壮絶な体験ってのは普通の人は避けて通る。

でも、壮絶な体験をすると一生の宝物になる。

 

最高の結果の裏にはものすごい努力だったり行動力がある。

だから、思い出になる。

 

まどろっこしい言い方をしているのでわかりづらくなってきたかも。。。

何を言いたいかと、

「死ぬときに、自分の人生に後悔しないか?」

ってこと。

 

今の時代は流されて生きていれば普通に何事もなく生きれます。

でも、最高の思い出のために自分から積極的に苦痛を受け入れる人生は楽しい!!ってことなんです。

 

もし、1年に1個壮絶な思い出を作れたら10年後には10個あります。

それだけで楽しい人生になるじゃないですか^^

 

人は必ず死にます。

最後自分が死ぬときを想像してみてください。

 

ベットに寝て天井をみながら、

「自分はこの人生を後悔していないだろうか?」

この質問に後悔していないと答えれるような人生を送りましょうよ^^

 

僕は数年前まで工場で派遣社員をしていました。

すさんだ人生を生きていました。

 

でも、そのまま人生を過ごしていてはダメだと気づきました。

そして、人生を後悔しないように生きようと決めたんです。

 

 

最後に、、、

「明日死ぬと思って生きなさい。一生生きると思って学びなさい。」

ガンジー

 

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